前編では様々な宇宙グッズを紹介してくれた篠原ともえさん。後半では、引き続き彼女おすすめの宇宙グッズと、これまで観測してきた中でも特におすすめの星空スポットを紹介していただきました。
現代のツールを使いながらも
古に思いを馳せる天体観測
星を気軽に楽しむのでしたら、「Star Walk」というアプリがおすすめです。これは、今夜空にどんな星座が輝いているか一目でわかる、星座早見盤の進化版のようなアプリ。星の名前を覚えたい方が、天体観測をしながら実際の星と見比べたり、光源が届かない星を調べるのにも使える便利アイテムです。天体観測をしていて、星がありすぎてどれがどの星座かわからなくなってしまったときに愛用しています。
また、星好きが高じて、2014年には講談社さんから「宙ガール☆篠原ともえの『星の教科書』」という本を出版させていただきました。これは、私が描いたイラストと写真を使って、星の見つけ方と星座にまつわるエピソードを紹介した1冊です。この本は、すべての星座の和名を紹介していることがこだわり。私が子どもの頃読んだ星の本では、例えば北斗七星は、柄杓の形に見られたことから柄杓星と呼ばれていたり、カシオペア座は弓の形に見えることから、弓星っていわれていたりしたんですね。このように、日本で呼ばれていた和名がとっても魅力的だと思っていて、日本人がどうやって星を愛してきたのかという答えを紐解くきっかけになればいいなと思っています。
もうひとつのこだわりは、すべてのイラストをすべて自分で描いたこと。子どもの頃に、藤井旭さんという天文界の手塚治虫さんのような方の本を読んで、それがかわいいイラストとともに星座が紹介されていたんです。その本のおかげでとても楽しく星座を覚えることができたので、自分で星座の本を出版する機会があったら、絶対自分でイラストを描こうと決めていて。すごく大変でしたけど、やりがいのある仕事でした。星座の紹介のほか、私のおすすめの星空スポットや星ファッションなども紹介しています。
おすすめの星座スポット
ルーツは子どもの頃に
私のおすすめの星空スポットはまず、伊豆諸島にある青ヶ島! 母の故郷で私が星を好きになるきっかけをくれた場所なんです。青ヶ島の星は色がくっきりと届いてくるような星空で、7歳の頃初めて見たときは、色が飛び込んでくるようなその景色に圧倒されたのを覚えています。
ふたつめは、山中湖などの富士山周辺。流星群のときなどに宙仲間と訪れることが多いのですが、富士山をバックに見る星空は、本当に美しくてすごく見応えがあります。海外の方もたくさん訪れていて、世界からも注目されている星空スポットのひとつなんだと思います。
最後に紹介したいのは、栃木県戦場ヶ原。ここは、星観測に出かけた際、望遠鏡やカメラを持っている現地の方とお話しさせて頂き、直接教えてもらった星空スポットなんです。星空観測に行ったときは、近くにいる望遠鏡やカメラを持った方に「今日よく見えますね!」みたいに話しかけちゃいます(笑)。その方に「おすすめの星空スポットありますか?」と聞いたら戦場ヶ原を教えていただきました。そのときは冬だったんですけど、天の川もすごくくっきり見えていて、星のひとつひとつが粒立っていました。こまやかな星々までよく見えて、まさに大興奮する星空でした。
日本とはまた違う感動に出会える海外の星空
海外では今年の夏には、ハワイ島にある、すばる望遠鏡のツアーに参加しました。すばる望遠鏡は標高約4200メートルのマウナ・ケア山頂にある大型の光学赤外線望遠鏡で、日本人も協力して作られたものなんです。ハワイって暑いイメージがあると思いますが、マウナ・ケア火山の上の方は、富士山よりも標高が高いのでとても寒くって大変でした。でも、そこで見る星空は本当に格別だったんです。
天体って時間経過もすごく魅力的で、私が登ったときはまだ日が出ていたんですが、そのときに太陽を背にして立つと、太陽の光が背後から差し込んで私の影の周りに虹のような光の輪が見えたんです。ブロッケン現象という珍しい現象なんですけど、これが本当に感動的でした。そして日が沈みかけて美しい夕暮れになり、惑星たちが顔を出して…。だんだんと惑星が色づいてきて、木星がまるではちみつのような色になり、土星もそれに負けず劣らず輝いて、火星が赤く昇ってくる。一連の時間経過がどれも本当に美しく感動的でした。
今後訪れてみたいのは、ニュージーランドの「テカポ湖」。街灯が空に響かないようにするなど、街全体で美しい星空を守る取り組みを行っている場所で、世界で一番星空がきれいと言われているので、一度は訪れてみたいです。
Written by Mai Ueno
Photos by Ryuta Sato
篠原ともえ しのはら・ともえ
アーティスト、ファッションデザイナー。文化女子大学短期大学部服装学科卒業。16歳で歌手デビュー。個性的なキャラクターとカラフルな衣装を纏った独自のファッションで「シノラー現象」を巻き起こし、1990年代のファッションアイコン的存在になる。以後タレント、女優、ナレーター、衣装デザイナーとして活動。学生のときの天文部時代の星の知識を生かし、天文ラジオ番組のパーソナリティーや全国で星空コンサートや星座解説を定期的に開催。活躍の場を広げている。11月8日からは東京ドームシティTeNQにて自身初の星をテーマにした個展「篠原ともえ STaR☆PaRTY」を開催予定。
オフィシャルサイト
http://www.tomoeshinohara.net
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篠原ともえSTaR☆PaRTY 星と宇宙のデザイン展 TeNQ
2018年11月8日(木)〜3月3日(日)開催予定
https://www.tokyo-dome.co.jp/tenq/event/exhibition-15.html