自分の成長とともに変化してきた音楽への向き合い方
──シンガーソングライター・関取花さん

排水口の掃除が大好き！

私の歌の中に、「努力は大抵報われない　願いはそんなに叶わない」って歌詞があるんですけど、それは本当にそうだと思ってるんです。でも、排水口だけは、やったらやっただけキレイになる。頑張ったら頑張っただけ私に微笑みかけてくれるんですよ。だからすごく癒やされる（笑）。

そう、毎日やってると磨く場所がなくなってきちゃうから、とにかく髪の毛を一本も流させないぞみたいな心意気で。今じゃ毎日掃除しないと眠れないくらいなんです。

掃除全般好きですね。努力が報われるっていうプロセスが気持ちいいんです。それでいうと料理も好き。料理も練習したらした分だけ上手になるので。煮物を作って、鍋をぼ〜っと見るのも好き。

そうですかね。灰色の目をして煮物の鍋を眺めてる嫁っていいですか？

何もしないでぼ〜っとしていられるっていうのがポイントなんです。ただぼ〜っとしてると、ただのなまけてるやつだけど、目の前に煮物があれば、そこに大義名分ができる。

無になれることが大事なんです。いろんなもやもやを、一度リセットできる感じ。

やればやるだけ結果が出て、気持ちも一度リセットできる。努力が報われなくて悩んでる人にはおすすめのストレス発散法ですよ（笑）。

あと癒やしでいうと、井の頭公園の中にモルモットが触れるところがあるの知ってます？

モルモットふれあいコーナーっていうのがあって、触れるんですよ無料^（注）で。 もふもふですごい癒やされるんです！

う〜ん、だめじゃないけど、やっぱ無料がいいですよね（笑）。

そうですね、昔はただ自分の思いを吐き出したいだけの高二病だったんですけど…。

そう（笑）。誰も自分のことなんて分かってくれないっていう思春期にありがちなやつです。

自分自身で仮面を被っているというか、外面をよくしてるのに、私のことを誰も理解してくれないみたいな思いがあって。そういうもやもやした気持ちを吐き出したくて作詞作曲してました。

そういうのではないんです。自分を分かってほしいわけじゃなくて、ただ自分がスッキリしたいだけ。本当ただの自己満足ですよね。

「中くらいの話」ってミニアルバムを出した頃あたりかな。その中で歌っている曲を聴いてくださった方から、「共感した」とか「元気づけられました」と言ってもらえることがすごく増えて。そのあたりから、自分の音楽を通して、人を元気づけられたらうれしいなと強く思うようになってきて。

あると思います。25歳を過ぎると、何事も自分一人でやっているわけじゃないことに、嫌でも気づいちゃうじゃないですか（笑）。いろんな人に支えてもらっていることをリアルに意識してくると、自分のためだけには歌っていられなくなってきますよね。

そう。例えば、音楽フェスに来てる人たちって音楽が好きな人がほとんどだと思うんですけど、お茶の間の前にいる人たちってみんながみんな特別音楽を好きなわけじゃないじゃないですか。私の場合、そんな人にも興味を持ってもらいたい、そういう人たちも元気づけることができたら、すごくやりがいがあるなって感じる部分があって。

そうですね。そういう意味では、ひがみソングは、自分の音楽を聴いてもらえるきっかけになっているのかなって思います。

ひがみソングはネタ曲として作ったもので、実際は私の歌の中でひがみソングってそんなにないんですよ。だから、あまりにそればっかりってなると、正直ちょっとは複雑な心境になることはあります。でも、老若男女問わずいろんな人に自分の音楽を聴いてもらいたいという思いが自分の中にずっとあるので。そういう意味で、私の音楽を聴くきっかけになってくれるなら、すごくうれしいですね。

実際、ひがみソングから入って、他の曲も聴いて感動しましたと言ってくださる方もいて。なのでどんな形であれ、まずはいろんな人に自分を知ってもらいたいですね。

世代を問わずいろんな人が来てくれるライブがやりたい！ 目下の夢は、両国国技館でやるDOSUKOIライブ！

せっかく関取って苗字なのに、意外と誰もつっこんでくれないんですよ。だから自分からアピールしていこうかなと思って（笑）。SNSのアカウントとかも「dosukoi」にしたりしてます。

そう、もっとみんな気軽につっこんで！（笑）