螺旋階段というと、どんなイメージがあるだろうか。オシャレな雰囲気、少し危険な雰囲気、ぐるぐるとうずをまくその階段の構造は偶然に誕生したとの説もある。写真家としても活躍する稲見隆太郎さんの写真とともに、螺旋階段の「うず」を紹介します。
螺旋階段、じっくりと眺めたことがありますか。
なんとなく面白い建物だな、という印象を抱いてふらりと立ち寄ったビルで出合ったのが真っ白な階段でした。
それから8年が経ちますが、螺旋階段を見つけるたびに、下からのぞけば「吹き抜けに吸い込まれるような感覚」、上から見下ろせば「落ちていくような感覚」。そんな不思議な感覚を味わいながら、写真を撮り続けています。
シンプルで象徴的な螺旋階段ですが、
下から見上げるとぐるぐる、ぐるぐると引き込まれて行きそうなアングル。
素材も魅力的な木造の六角形二重螺旋階段。
奥に見えるのは天窓。そこから降り注ぐ光を求めて登る時も楽しい。
階段の側面がサメの歯のようにも見える螺旋階段。
階段の一部分を切り取ることも楽しさのひとつ。
階段の裏側の蛍光灯がぼんやりと階段を照らす、四角形の螺旋階段。
吹き抜けに向かって手すりがアルファベットの「X」のよう。
螺旋階段は、構造そのものも、どんな風になっているのだろうと想像力を搔き立たせてくれる。そして、階段の手すりは、くるくると吸い込むかのごとく、中心へ視線を誘導していく。階段の踏み場の裏側の素材や、側面の素材、壁、天井、全てが独特の雰囲気で階段を包み込む。降りたり、登ったり、総合して一番“その階段らしい”雰囲気を写真に切り取っている。
それぞれの目で見た印象は自然と違って、じっくりと味わえる。それが螺旋階段の魅力なのです。
Photos by Ryutaro Inami
稲見隆太郎
1985年東京生まれ。
10年前より友人の誘いで写真を始め建築写真、ストリートスナップなどを経て現在はフィルムカメラでの生活写真を主に撮影。医療機器メーカーで勤務する傍ら小説の装丁写真などの撮影も行う。